ナスの接木苗の作り方、割り接ぎ木の方法(仕方)
ここでは、ガーデンテープと接ぎ木クリップを使った、ナスの割り接木(トルバム台木)のやり方だけを紹介しています。
以下に掲載されている内容は、個人的な接木方法なので、あくまでも参考としてご覧ください。
ナスの割り接ぎ木の手順
割り接ぎ木じたいは、台木と穂木の軸の太さが同じである必要はなく、少しぐらい穂木が台木よりも太くても、細くても行うことが出来ると思います。
ただ、ここで紹介している方法では、台木と穂木の太さが同じくらいでないと、切断面を密着させて維持することが出来ないと思われるので、太さが同じくらいのものを使用しています。
なすの台木には、トルバムビガー を使用しています。
割り接木に使う穂木は、写真のように本葉が3.5枚の苗を使用しています。
トルバムビガーの播種から約2週間後に種をまいています。
台木の加工
台木は、子葉の付いている所から上を使います。
茎をカットする位置は、切れ込みを入れる深さで変わりますから、写真を参考に本葉を1~2枚残して適当な位置でカットします。
台木についている子葉や本葉は、取り除いてもかまいません。
写真撮影用に板の上に置いていますが、板の上で切る必要はありません。
台木は、適当と思われる深さまでカッターで茎に切れ込みを入れます。
この時、指を切らないように軍手などの手袋をして、作業すると良いでしょう。
穂木の加工
穂木の なす は、子葉の下から切り取り、子葉から上の部分の適当な所をクサビ型にカットする。
こでは、節間が短いので本葉を3枚残していますが、2枚だけでもかまいません。
こんな感じに仕上げます。
穂木の挿し方と固定
トルバム台木と穂木の切断面が密着するように、穂木の切断面が見えなくなるまで深く挿します。
支柱と割り接木部分を2枚のガーデンテープで、両側から挟み込んで割り接木部分を固定します。
穂木と台木の切断面がしっかりと密着するように、割り接ぎ木部分の両側(支柱側とその反対側)をテープの上から押さえてから接木クリップで固定します。
接木クリップは、5日ぐらい固定しておきます。
ガーデンテープだけでは、台木の切断面が時間と共に外側に開いてしまうのを防げないので、接木クリップを使用しています。
ここで使用している接ぎ木クリップは、ナスの割り接ぎ木専用の接ぎ木クリップではなく、スイカの呼び接ぎ木用の接木クリップで代用しています。
割り接ぎ木が終わったものは、萎れないうちに家庭用育苗器に入れます。
写真のように、2つの苗を一緒に接木しています。
どちらか一方だけが萎れなくなったら切り離します。
ナスの割り接ぎ木後の管理(養生)
接木後の管理についての内容は、桜が4月8日頃に満開になる気候で、4月以降に割り接ぎ木を行った場合の内容となっています。
割り接木後の管理には、家庭用育苗器を使用しています。
家庭用育苗器は、加温と加湿が同時に出来るので養生での失敗がほとんど有りません。
このページで言うところの温度、湿度、外気温とは以下の通りです。
- 温度とは、家庭用育苗器の中に置かれたポットの中の温度。
- 湿度とは、家庭用育苗器の中の湿度。
- 外気温とは、家庭用育苗器が置かれた室内の温度。
台木と穂木の切断面がしっかり密着していないと、接着する部分が少なくなるので上の左の写真のように根が出てしまいます。
遮光、割り接木後の管理
日中は、日が差し込む時だけ遮光して、日が差さなくなったら常に、カーテンを全部開けて明るくしておきます。
家庭用育苗器は、フードやビニールだけで保温材を掛けてない状態です。
温度、割り接木後の管理
家庭用育苗器の温度管理をするために、サーモスタットと最高最低温度計を使用しています。
家庭用育苗器は、ナスの割り接ぎ木を行う時間には、日中の場合、温度が最高で約27度~28度ぐらいになっているようにしておきます。
温度管理については、日中の最高温度が約27度~28度ぐらいで様子をみます。
ナスの穂木から根が発生するようであれば、萎れない程度に少し温度を下げて様子を見ます。
穂木から根が発生したからといって失敗だと言う訳では有りませんが、活着に影響が有るかもしれません。
夜間の最低温度約20~21度ぐらいに設定しています。
サーモスタットを使っているので、最高温度、最低温度の平均温度は少し変ります。
以上のことは、一つのパターンであり最良の温度管理ではなく、あくまでも一つのパターンです。
活着、割り接木後の管理
日曜日にナスの割り接ぎ木を行った場合には、木曜日頃から割り接木苗を少ししおれるまで、家庭用育苗器の外に出して外気に触れさせます。
日が差している場合は、遮光した中で行います。
萎れる苗がある間は、この作業を6日~10日間ぐらい続けますが、それでも萎れる苗は、割り接木自体がうまくいかなかったと思われます。
上記した気候なので、晴れていれば外気温が約20度くらいはあると思いますが、外気温が約16度以下の場合は、この作業を行いません。
4日目では、まだ十分活着していないので、すぐ萎れてしまいますが、以下のような目的があります。
- 割り接ぎ木苗を萎れさせることによって、刺激を与え活着を促す。
- 湿度が高い中では、病気が発生する場合があるので、割り接木苗を乾燥させて病気の発生を防ぐ。
したがって、葉が濡れている場合は、ティッシュなどで水滴を取ることが望ましいです。
順化(慣らし)、割り接木後の管理
割り接木苗が萎れなくなった日の翌日の1日だけ、家庭用育苗器の外の明るい日陰に置いておきます。
次の日には、レースのカーテン越しに日光に当てますが、萎れたり下の写真のように葉の所々が光って見えるようになった場合には、また、明るい日陰に置いておきます。
写真の葉の白いところが、光って見えるところです。
萎れたり葉に異常が現れなければ、次の日には、日光に当てますが、萎れたり葉に異常が現れるようであれば、一旦、明るい日陰に置き、回復してからレースのカーテン越しに戻します。
完全に活着する前から家庭用育苗器の外に出しているので、順化(慣らし)の期間は短くなります。
また、穂木には、育苗時に十分日光に当てたナス苗を使用した場合も、順化(慣らし)の期間は短くなります。
これはあくまでひとつのパターンであり、なす を割り接木する時期、接ぎ木前の育苗環境、苗の質等を考慮して変える必要があります。
養生済みの割り接木苗は、大きめのポリポットに植え替えると思いますが、その時に支柱を長めの支柱に替えて固定するのが良いと思います。
また、割り接ぎは、穂木を挟んでいるので、折れにくいと思いますが、テープはしっかり活着するまで取らないでおくのが良いと思います。
ナスの台木トルバムビガーのタネ蒔き・育苗については、ナスの接木用 台木 トルバムビガーの育て方を参考にしてください。
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