ナスの接木苗の作り方、タキイ式ピン接ぎ木の方法(仕方)
タキイ式ピン接木は、タキイ種苗株式会社によって考案された接ぎ方です。
以下に掲載されている内容は、タキイ式ピン接ぎ木の指導を受けたわけではなく、個人的な接木方法なので、あくまでも参考としてご覧ください。
ナスのピン接木の手順
写真のようなツギピンホルダーという器具とセラミック製のツギピンを使います。
穂木のナスは、種を蒔いて一ヶ月位たっています。
ピン接ぎ木後の管理を高温で行う場合は、最初の花芽の分化が終わった、本葉が3.5枚の苗を穂木として使用してください。
これより若い苗だと、まだ花芽分化が終わっていない可能性があるので、ピン接ぎ木後の管理を高温で行うと、最初の花芽の位置が高い位置になってしまいます。
台木のナスは、穂木のナスと同じく種を蒔いて一ヶ月位で、穂木の太さと同じ太さの赤なす を台木に使っていますが、穂木よりも少し太い台木を使っても問題ありません。
ピン接木は、外側から固定する必要がないので、写真のように台木と穂木の太さが違っても接木することが出来ます。
台木と穂木の処理
セルトレーから赤なすを抜いて、台になる板の上に寝かせておきます。
台木の赤なすの子葉と第一葉の間に接ぐので、その位置より少し高い位置で赤なすの茎をカットして置きます。
赤なすの第一葉の本葉も必要ないのでカットして、写真の様な状態にしておきます。
穂木のナスを子葉の下から切り取ります。
ナスを接ぐ位置から下の葉を写真の様に取り除きます。
両方を一緒にして切ると、台木と穂木の切断面を合わせることができます。
風などで簡単に接木部分が折れないように、接着面を広くしたいので、斜めに切っています。
支柱などでしっかり固定できれば、平らに切ってもかまわないと思います。
挿し方と後の処理
台木の中心部あたりにピン先をあてがい、曲がらないように挿し込みます。
挿し終わると写真のようになります。
穂木の中心部をピン先に付けてから、穂木を挿し込みます。
そして台木と穂木を密着させます。
ピン接ぎ木が終わったものは、セルトレイに戻して萎れないうちに家庭用育苗器に入れておきます。
ナスのピン接木後の管理(養生)
接木後の管理についての内容は、桜が4月8日頃に満開になる気候で、4月以降にピン接ぎ木を行った場合の内容となっています。
ピン接木後の管理には、家庭用育苗器を使用しています。
家庭用育苗器は、加温と加湿が同時に出来るので養生での失敗がほとんど有りません。
このページで言うところの温度、湿度、外気温とは以下の通りです。
- 温度とは、家庭用育苗器の中に置かれたポットの中の温度。
- 湿度とは、家庭用育苗器の中の湿度。
- 外気温とは、家庭用育苗器が置かれた室内の温度。
室内で育苗すると苗が明るい方へ曲がってしまうため、写真のような苗が何本か出きてしまいます。
それを防ぐには、1日か2日に一回、苗の向きを変えることが望ましいです。
遮光、ピン接木後の管理
日中は、日が差し込む時だけ遮光して、日が差さなくなったら常に、カーテンを全部開けて明るくしておきます。
家庭用育苗器は、フードやビニールだけで保温材を掛けてない状態です。
温度、ピン接木後の管理
家庭用育苗器の温度管理をするために、サーモスタットと最高最低温度計を使用しています。
家庭用育苗器は、ナスのピン接ぎ木を行う時間には、日中の場合、温度が最高で約27度~28度ぐらいになっているようにしておきます。
温度管理については、日中の最高温度が約27度~28度ぐらいで様子をみます。
ナスの穂木から根が発生するようであれば、萎れない程度に少し温度を下げて様子を見ます。
穂木から根が発生したからといって失敗だと言う訳では有りませんが、活着に影響が有るかもしれません。
夜間の最低温度約20~21度ぐらいに設定しています。
サーモスタットを使っているので、最高温度、最低温度の平均温度は少し変ります。
以上のことは、一つのパターンであり最良の温度管理ではなく、あくまでも一つのパターンです。
活着、ピン接木後の管理
日曜日にナスのピン接ぎ木を行った場合には、木曜日頃からピン接ぎ木苗を少ししおれるまで、家庭用育苗器の外に出して外気に触れさせます。
日が差している場合は、遮光した中で行います。
萎れる苗がある間は、この作業を10日間ぐらい続けますが、それでも萎れる苗は、ピン接木自体がうまくいかなかったと思われます。
上記した気候なので、晴れていれば外気温が約20度くらいはあると思いますが、外気温が約16度以下の場合は、この作業を行いません。
4日目では、まだ十分活着していないので、すぐ萎れてしまいますが、以下のような目的があります。
- ピン接ぎ木苗を萎れさせることによって、刺激を与え活着を促す。
- 湿度が高い中では、病気が発生する場合があるので、ピン接ぎ木苗を乾燥させて病気の発生を防ぐ。
したがって、葉が濡れている場合は、ティッシュなどで水滴を取ることが望ましいです。
順化(慣らし)、ピン接木後の管理
ピン接木苗が萎れなくなった日の翌日の1日だけ、家庭用育苗器の外の明るい日陰に置いておきます。
次の日には、レースのカーテン越しに日光に当てますが、萎れたり下の写真のように葉の所々が光って見えるようになった場合には、また、明るい日陰に置いておきます。
写真の葉の白いところが、光って見えるところです。
萎れたり葉に異常が現れなければ、次の日には、日光に当てますが、萎れたり葉に異常が現れるようであれば、一旦、明るい日陰に置き、回復してからレースのカーテン越しに戻します。
完全に活着する前から家庭用育苗器の外に出しているので、順化(慣らし)の期間は短くなります。
また、穂木には、育苗時に十分日光に当てたナス苗を使用した場合も、順化(慣らし)の期間は短くなります。
これはあくまでひとつのパターンであり、なす をピン接ぎ木する時期、ピン接ぎ木前の育苗環境、苗の質等を考慮して変える必要があります。
養生済みのピン接木苗は、大きめのポリポットに植え替えると思いますが、その時にピン接木部分から折れるのを防ぐために、支柱を立てて固定するのが良いと思います。
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