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自分の家族が死傷した場合でも、自分の自賠責保険が使える

注:
協同組合等が事業として行う場合には、関係する法律により保険ではなく共済という名称になります。
「 自動車損害賠償責任共済、自賠責共済など 」

運行供用者と運転者以外の家族は、乗車している車の自賠責保険が使える場合がある

一般的に自動車保険(任意保険)の対人賠償では、記名被保険者とその家族が被保険者(補償を受けられる方)になっています。

その場合、記名被保険者の家族が、契約車両に乗車中の自動車事故で死傷しても加入している自動車保険の約款(やっかん)の規定で、被保険者である家族に対する損害賠償責任を負担することで被る損害については、補償を受けることは出来ません。

しかし、自賠責保険(自動車損害賠償責任保険)では、保有者(注釈1)および運転者(注釈2)が被保険者になるので、その家族が被保険者の自動車に同乗していて死傷した場合には他人(注釈3)として扱われるため、被保険者(運行供用者(注釈4))に対して損害賠償請求することが出来る場合があります。

また、乗車していた自動車の自賠責保険に対して被害者請求することもできる場合があります。

自分の家族が死傷した場合に、自分の自賠責保険が使える場合の例

例1.

Aさん所有の自動車をAさんが運転して、妻とドライブ中に単独事故をおこし妻がケガをしてしまいました。

この2人を自賠法からみた場合について下記に示します。

Aさん
運行供用者

被害者(Aさんの妻)に損害賠償金を支払った場合。

Aさんは、運転していた自動車の自賠責保険の被保険者なので、加害者請求をすることが出来る。

運行供用者(Aさん)に損害賠償の請求。

被害者(Aさんの妻)に損害賠償金の支払い。


被害者

運行供用者(Aさん)が、損害賠償金を支払えないか、または支払わない場合。

被害者(Aさんの妻)が、乗車していた自動車の自賠責保険に被害者請求をすることが出来る。

Aさんと妻が、ドライブに使用した自動車の自賠責保険

被保険者:Aさん

被保険者(加害者)は、被害者に損害賠償金を支払った後でないと、自賠責保険金を請求する権利を得ることは出来ません。

自分の家族が死傷した場合に、自分の自賠責保険が使えない場合の例

例2.

Aさんが、私用で出かけることになり、妻にAさん所有の自動車の運転を頼み目的地へ向け出発しましたが、途中で単独事故をおこし妻がケガをしてしまいました。

この2人を自賠法からみた場合について下記に示します。

Aさん
運行供用者

Aさんが、妻のケガの治療費を負担したとしても、運転者であるAさんの妻は被害者扱いされないので、Aさんが乗車していた自動車の自賠責保険に、加害者請求することは出来ません。

×

運転者なので損害賠償請求権は無い。

×


運転者

運転者は被害者扱いされないので、Aさんの妻がケガをしたことで損害が発生したからと言って、被害者請求することは出来ません。運転者は、自賠責保険の被保険者なので加害者請求権を持つことは出来ます。

×

Aさんと妻が使用した自動車の自賠責保険

被保険者:Aさん、Aさんの妻

共同不法行為なら複数の自賠責保険に申請できる

複数の自動車が絡む交通事故で死傷した被害者は、民法第七百十九条の共同不法行為責任に基ずき複数の事故車両の運行供用者に、損害賠償を請求することができる場合があります。

共同不法行為が成立するには、2台以上の自動車に過失があることが前提となります。

共同不法行為責任に基ずいて損害賠償を請求する場合は、例えば交通事故で傷害を負った被害者の損害額が200万円で、加害者が2人の場合、加害者一人一人に200万円ずつ損害賠償請求するのではなく、加害者2人に対して200万円を請求することになります。

前記の場合、もし加害者が一人だった場合、自賠責保険の傷害の支払い限度額は1名につき120万円なので、加害者に不足分の80万円を支払う能力がない場合には、被害者の自己負担となってしまいます。

しかし、2台分の自賠責保険に保険金を請求できれば、傷害の支払い限度額も2倍の240万円になり、自賠責保険から損害額の200万円の補償を受けることが出来ます。

保有者、運転者、他人、運行供用者についての注釈

注釈1:保有者
ここでいう保有者とは、自賠法第2条第3項に書かれている保有者のことで、次の1~3のいずれかに該当する者のことです
  • 自動車の所有者で、運行供用者であること。
  • 自動車の所有者で、なおかつ自動車を使用する権利を有する者で、運行供用者であること。
  • 自動車を使用する権利を有する者で、運行供用者であること。
注釈2:運転者
ここでいう運転者とは、自賠法第2条第4項に書かれている運転者のことです。
同条には、「運転者とは、他人のために自動車の運転又は運転の補助に従事する者をいう」と書かれています。
運行供用者ではない運転者は、自賠法では損害賠償責任を負うことはありません。
しかし、交通事故をおこした場合には、民法第七百九条の不法行為責任に基ずく損害賠償責任を負うことになりますから、自賠責保険の被保険者になっています。
注釈3:他人
ここで使用している他人という言葉は、自賠法第3条に書かれている「他人の生命又は身体を害したときは」の中の他人と同じ意味を持っています。
つまり家族以外の者という意味の他人ではなく、損害賠償責任を負う運行供用者及び運転者に該当しない、その他の者という意味の他人です。
注釈4:運行供用者
運行供用者とは、「自己のために自動車を運行の用に供するもの」のことをいいます。
もう少しわかりやすくいうと、自動車の運行を支配する立場にあり、なおかつ自動車の運行によって利益を得る立場にある者ということになります。
例えば、自動車の運行を支配する立場にある者とは、自動車の所有者自動車を使用する権利を有する者(自動車を借りた場合など)などが考えられます。
また、ここでいう利益とは、経済的な利益というよりは全般的な利益を意味します。
運行供用者は、個人の場合もあれば、会社の場合もあります。
運行供用者は、自賠法第三条の規定により他人(注3)に対して運行供用責任に基ずく損害賠償責任を負わされています。また、同条には過失がないことを証明した場合には、この限りではないとも書かれています。
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